オーナー社長にとって、中小企業M&Aが成功すれば企業にとって大きな成長機会や、ハッピーリタイアとなりますが、失敗すれば甚大な損失を招くことになります。多くの中小企業がM&Aに挑戦しますが、その過程で数々の困難に直面することが少なくありません。
皆さんも、M&Aに対して期待と同時に不安を抱いていることでしょう。適切な相手が見つからない、情報漏洩のリスクがある、仲介会社の選定に悩むなど、多くの課題があります。
本記事では、中小企業M&Aのよくある失敗パターンとその具体的な対策について詳しく解説します。これらの事例を参考にして、失敗を避けるための方法を学び、M&Aのリスクを軽減して成功に導くためのヒントを得てください。
よくある失敗パターン
まずは、M&Aでよく見られる失敗パターンを紹介します。具体的な事例を通じて、どのような問題が発生しやすいのかを理解し、それぞれの失敗パターンがもたらすリスクを認識することが目的です。
失敗事例 | 詳細 |
---|---|
株価評価が適切でなく、 相手が見つからない | 株価が高すぎて、 買い手が避けてしまうパターン |
株価評価が適切でなく、 実際よりも安く売ってしまう | 株価が安すぎて、 数千万、数億の損をするパターン |
情報漏洩により 関係者から反対されてしまう | 情報が漏洩して、 社内から反対されるパターン |
仲介会社の能力が低く、 適切な相手を見つけられない | 仲介会社の分析・営業力が低く、 相手企業を見つけれないパターン |
デューデリジェンスの不備 | 隠していた簿外債務やリスクが表面化し、 損害賠償を求められるパターン。 |
事例1.株価評価が適切でなく、相手が見つからない
M&Aにおいて、企業の株価評価が過大だと買い手が見つからないことがあります。過大評価により市場価格とかけ離れた価格を提示することで、買い手が興味を失うケースが多いです。
事例2.株価評価が適切でなく、実際よりも安く売ってしまう
逆に、企業の価値を過小評価してしまうと、本来得られるべき価格よりも安く売却してしまうことがあります。これにより、企業の資産価値が十分に反映されず、損失を被るリスクが高まります。
事例3.情報漏洩により関係者から反対されてしまう
M&Aの情報が漏洩すると、従業員や株主などの関係者から反対の声が上がることがあります。情報が事前に漏れることで、企業内外で混乱が生じ、M&Aの進行に支障をきたします。
事例4.仲介会社の能力が低く、適切な相手を見つけられない
仲介会社の選定に失敗すると、適切な買い手や売り手が見つからないことがあります。仲介会社の能力が低い場合、市場での信頼性や交渉力が不足し、最適な相手を見つけることが困難になります。
事例5.デューデリジェンスの不備
デューデリジェンス(買収前の詳細調査)が不十分だと、買収後に予期しない問題が発覚することがあります。財務、法務、人事などのチェックが甘いと、隠れた負債やリスクが表面化し、企業にとって大きな損失となります。
失敗パターンごとの具体的対策
次に、前述の失敗パターンに対する具体的な対策を紹介します。各パターンに対して有効な対策を講じることで、失敗のリスクを軽減し、M&Aを成功に導くための実践的な方法を学びましょう。
対策1.株価評価が適切でなく、相手が見つからない
公正な評価を行い、市場価格に基づいた適正な買収価格を設定することが重要です。市場調査と専門家の活用により、正確な株価評価を実現します。
- ①市場調査の実施:
- 自社の業界や市場に関する最新の情報を収集し、現実的な価格設定を行うことが重要です。
- ②専門家の活用:
- 財務アドバイザーや評価の専門家に依頼し、公正な評価を得ることで、現実に即した株価を設定することができます。
- ③複数の評価手法の使用:
- DCF法、マルチプル法、市場比較法など、複数の評価手法を併用することで、より正確な企業価値を算出します。
対策2.株価評価が適切でなく、実際よりも安く売ってしまう
複数の評価手法を用いて正確な株価評価を行うことが求められます。評価手法の種類とその適用方法を理解し、適正な価格設定を行うことで、過小評価を防ぎます。
- ①複数の評価手法を用いる:
- DCF法やマルチプル法、さらには資産ベース評価などを組み合わせて評価を行います。これにより、一つの評価手法に依存せず、総合的な企業価値を見極めます。
- ②外部の専門家による評価:
- 自社内だけで評価を行うのではなく、外部の評価専門家や財務アドバイザーを活用し、客観的な視点からの評価を得ることが重要です。
- ③業界比較:
- 同業他社の取引事例や市場動向を参考にすることで、自社の価値をより適切に把握することができます。
対策3.情報漏洩により関係者から反対されてしまう
情報管理を徹底し、関係者とのコミュニケーションを適切に行うことが必要です。情報漏洩防止策と危機管理の具体的な方法を実践し、信頼を築くことが重要です。
- ①情報管理の徹底:
- 機密情報の取り扱いには細心の注意を払い、情報漏洩を防ぐための対策を講じることが必要です。具体的には、情報アクセスの制限、暗号化、機密保持契約(NDA)の徹底などがあります。
- ②関係者とのコミュニケーション:
- 従業員や株主などの関係者には、計画の進捗に応じて適切なタイミングで情報を共有し、理解と協力を得ることが重要です。
- ③危機管理対策の準備:
- 万一情報漏洩が発生した場合の対応策を事前に準備しておくことで、迅速かつ適切に対応できる体制を整えます。
対策4.仲介会社の能力が低く、適切な相手を見つけられない
信頼できる仲介会社を選定し、その実績を確認することが不可欠です。仲介会社の選定基準と評価方法を明確にし、適切なパートナーを見つけるための準備を行います。
- ①仲介会社の選定基準を明確にする:
- 仲介会社を選定する際には、実績、専門知識、ネットワークの広さなど、具体的な基準を設定します。
- ②複数の仲介会社と接触する:
- 一社だけに依存せず、複数の仲介会社と接触し、それぞれの提案や対応を比較検討します。
- ③仲介会社の実績確認:
- 過去の取引実績や成功事例を確認し、信頼性を評価します。特に、同業種や同規模の企業の取引実績があるかをチェックします。
対策5.デューデリジェンスの不備
徹底した財務、法務、人事のデューデリジェンスを行い、専門家を積極的に活用することが求められます。デューデリジェンスのチェックリストと実施方法を具体的に理解し、万全の対策を講じます。
- ①徹底した財務デューデリジェンス:
- 財務状況を詳細に分析し、隠れた負債やリスクを洗い出します。必要に応じて外部の専門家を活用します。
- ②法務デューデリジェンスの強化:
- 契約書や法的文書を精査し、法的リスクを事前に把握します。また、法務アドバイザーを活用し、法的助言を受けることが重要です。
- ③人事デューデリジェンスの実施:
- 組織構造や従業員の状況を確認し、買収後の統合に向けた計画を立てます。特に、キーマンの把握とコミュニケーションが重要です。
まとめ
M&Aの成功は慎重な準備と計画にかかっています。失敗を避けるためには、失敗パターンを理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。この記事で紹介した失敗パターンと具体的な対策を参考にして、M&Aに臨む際のリスクを最小限に抑えましょう。
特に、株価評価の適正化や情報管理の徹底、信頼できる仲介会社の選定、そしてデューデリジェンスの徹底など、各段階での準備と対応が重要です。これらを実践することで、M&Aの成功確率を高め、企業の成長を実現できるでしょう。
最後に、M&Aの成功には綿密な計画と確実な実行が求められます。失敗事例を教訓にし、適切な対策を講じて、あなたの企業がM&Aで成功を収めることを願っています。
M&A成功に向けて
信頼できるM&A仲介会社を選ぶ方法は?
M&Aは企業とオーナーの人生にとって大きな節目であり、
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2024年7月31日